2010年7月25日日曜日

9月24日 鳥コン結果報告

*悪乗りの産物、方々に土下座。*

白い旗が振り下ろされる。ゲートオープン。
補助の機体保持要員が後ろに下がる。
左右のウィングマン、3人のテール保持。
パイロットを乗せた白い機体。

うだるほどに暑いプラットホーム上から温度が無くなる。
誘うような緩やかな向かい風の音以外、全ての音が消える。
観客席の応援の声も、湖面で待機するボートのエンジン音も聞こえない。
極度の緊張、という現象。

パイロットが順に機体保持者に声を掛けていく。
「右ウィングマン、準備OK?」
「OK」
「左ウィングマン、準備OK?」
「OK」
「テール準備OK?」
「OK」
聞き慣れたはずの声なのに、知らない人の声のように聞こえるのは、全員の声が上滑っているからだろうか。

「プロペラ回します!」
鮮やかなピンクのプロペラが力強く回転を始める。
青空を切る、艶やかなブレード。

「3、2……」
補助のテール保持2人が左右に掃ける。

「1……GO!!」
動き出す機体。
そのスピードは決して遅くないはずなのに、まるでスローモーションのようだ。
数歩を機体と共に走ったウィングマンが、身をかがめて翼を空に放つ。
最後まで機体に寄り添うのはテールプッシャー。
後押しする手が離れ、屈めた頭の横を垂直尾翼が過ぎ行き……
プラットホームの縁から、機体が宙に滑り出した。
1年と10ヶ月をかけて作られた、私達の機体。

この瞬間だけは、いつも、いつも、どこかにいる何かに心から祈る。
どうか……どうか、この飛行機を飛ばしてください……。



飛び出しは悪くなかった。
悪くなかった…が、安定はしていなかった。
途中で落ちてしまうのではないか、という不安が頭をもたげる。
機体を追うようにプラットホームの端に走り寄った仲間達が口々に叫んだ。
「アップだ!上げろ!」
その声を掻き消すかのように鳴り響く、タイムの測定開始を知らせるホーン。
それは、ただの人力飛行機ではない。タイムトライアル機としての闘いの始まりの合図だった。

まるで翼を傷めた鳥のように、わずかによろめきながら遠ざかってゆく機体。
機速は速い。
桟橋から行方を見守っていたどのチームよりも速いと、贔屓でも希望的観測でもなく、そう感じた。
あっという間に近付くターンポスト。
機体がゆっくりとその側面を見せ始める。
魔物の潜む淵を通り抜けるような、旋回の開始だ。

テイクオフ直前の緊張感を、張り詰めた糸に例えるならば、
旋回時の緊張感は、最高潮に盛り上がった管弦楽のように思える。
いつ何が起こるのか。
機体の一挙一動に心が激しくかき乱され、呼吸を忘れる。




見つめるメンバー達の視線の先で、旋回する機体。
紅いペイントが施された胴体が、徐々に見えにくくなり、
代わって鮮やかなピンクのプロペラがこちらを向いた。
だが…あまりにもバンク角が大きい。
スパイラルだと誰もが思った。このままでは墜落してしまう。
どんなに叫んでみても、500mも先に自分の声など届かないことは分かっている。
それでも全員が「落ちないでくれ」と声を上げ続けた。
MCの藤本美貴が、500m地点を1位で通過したと声を掛けてきたが、
機体が帰ってこなければ、タイムに意味などないのだ。
誰一人、その言葉に応える余裕を持った者は居なかった。




願いが通じたのか…
その瞬間、ふわりという音が聞こえた気がした。
機体がバランスを取り戻す。
真っ直ぐにプラットホームに向いた機首と、水面に平行になった主翼。
追い風に乗り、私達の機体とパイロットが帰ってくる。

プラットホームの真正面。
ゴールを告げるホーンが鳴り響き、
機体を追い越して行ったボートの上で、審判員が赤いフラッグを振り上げる。
機速が速過ぎるが故に不安の残っていた着水も、上手く行った。

奇跡。そう表現したい程の完璧なフライト。
プラットホームの上で喜びが爆発する。
ハイタッチが行き交い、無茶苦茶に抱きしめ合った。


2位に31秒の差を付けての暫定1位。
灼熱する機体回収場で作業をしている時に、暫定が確定となった事を知った。
通り過ぎる人が祝福の声を投げかけてくれる。
その言葉に「優勝」という、その意味を知った気がした。




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応援ありがとうございました。



2010年7月22日木曜日

7月21日

現在本番仕様の準備中。
フェアリングに色を付けてみたり・・。

2010年7月10日土曜日

7月10日

今日も前日の天気予報をひっくり返してのテストフライト。
今回は意図的に左右に振ってラダー、エルロンの効きを確認しました。

最後のフライトの動画(HDで撮影、youtubeでの再生を推奨)を載せておきます。



今回で鳥コン前のテストフライトは終了です。
この後、ごまかしてある破損箇所の修復、フィルムの交換を行い、本番に臨みます。

追記
最後に機体全景と集合写真を撮りました。
機体全景を載せておきます。



2010年7月5日月曜日

7月4日

曇り予報が前日に雨予報に変わる嫌がらせのような天気予報の裏をかいてダメモトで富士川へ。途中通り雨や、湿気で翼が曇るなどありましたが、なんとか数本TF実施できました。

本日最後のフライト動画を載せておきます。